べんべんリレーBLOG
第164回 大阪弁護士会 ≒ 大阪弁護士協同組合 ―「≒」の正体―
財務委員会委員 松井淑子
「大阪弁護士協同組合」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
「ああ、弁護士会の委員会の一つでしょ」――おそらく約5200人の大阪弁護士会の会員のうち約2000人の会員がそう思っています。「弁護士会に入会するとき何かお金を払った気がするけど……」――協同組合と弁護士会の違いすら思い浮かばない会員も1000人はいるはず。
しかし、多くの弁護士が、協同組合から毎年届けられる「弁護士業務便覧」の手帳を受け取っているのではないでしょうか。あるいは、業務で不動産業者や処分業者等を探すとき、「協同組合の特約店かどうか」をさりげなく確認していないでしょうか。多くの弁護士が協同組合のお世話になっているはずです。協同組合の自己顕示欲のなさを思えば、認知度の低さもやむを得ないことかもしれません。
大阪弁護士協同組合の事務所は、弁護士会館の5階にあります。奥の会議室では、弁護士である理事長・理事・各委員会委員が揃って理事会、委員会等を開催しています。「弁護士が弁護士のために運営する組合」です。そして、大阪弁護士会会員約5200人のうち95%以上の会員、約5000人が組合員です。
なぜ全く別の組織だと気づかれにくいか。それは月々の会費がないからではないでしょうか。出資金等を一度支払えば、その後請求書は届きません。人知れず静かに活発な活動をしている組織です。弁護士会からは毎月会費が引き落とされ、「月刊大阪弁護士会」が届き、その存在感を忘れることはありません。協同組合の様々な活動についてはひっそりとチラシで案内が出されたり、年2回雑誌「べんべん」が届けられたりしているものです。委員会に入って活動する組合員も数百名。誤解されても仕方がありません。
では、協同組合はどうやって活動資金を賄っているのでしょうか。答えは「収益事業」です。特約店の審査・管理、保険、手数料収入などを積み重ね、その収益を組合員へ還元しています。手帳の配布も、研修、出版、弁護士関係者向けのメンタルヘルス相談サービスの提供、弁護士会との費用折半の健康診断等の福利厚生企画も、すべてその成果です。しかも理事や委員の活動はほぼ手弁当。昼の委員会での昼食費や理事の月報酬は出されていますが、委員役員等として投じる時間と労力を時給換算するともちろん割にあいません。しかも職員は大阪弁護士会が100人を超えるのに対し、わずか数名、この数名の職員が収益活動事業のバックオフィス業務を縦横無尽にこなしてくれているのが現状です。
翻って弁護士会はどうか。月額の一般会費収入だけで相当な安定収入となります。2024年度に副会長・財務担当を務めた際、改めてその規模の大きさと、会費の使い方について向き合う機会を得ました。弁護士会は収益事業を目的とする団体ではなく、人権擁護を担う弁護士の自由と自治を守るための自治組織です。だからこそ、2006年、新会館竣工後の地下の駐車場については、収益事業として弁護士会が直接手がけるよりは、協同組合に管理を委ねるのが適当と判断され、投げられたボールを組合がキャッチし、組合の収益事業として駐車場の管理を担ってきました。結果、組合による駐車場収益がめぐり巡って組合員≒会員弁護士の利益になり、弁護士会としても、固定資産税上の評価において、会館利用の公益性にクレームがつきにくくなるという三方よしの役割分担の構図が見事に発揮されました。
近いところでは、協同組合が提供していたメンタルヘルスケア相談サービスは司法修習生は対象ではなかったところ、弁護士会として急遽、司法修習生への相談サービス提供を必要とすることがありました。この時、担当副会長として協同組合に対し、司法修習生も受け入れていただきたい旨を要請したところ、迅速に対応、ご快諾いただきました。これも日頃の関係性あって故のことだったと当時、協同組合に深く感謝したのを覚えています。
「車の両輪」とも呼ばれるこの関係性。片方が空回りすれば、もう片方も進みません。弁護士会と協同組合は、目的も異なる全くの別組織でありイコールではありません。しかし、その構成員は95%同じという不可分な関係でもあります。「≒」という記号が示すのは、「イコールではないが、構成員の利害は限りなく同じ」ということです。
知られざる謙虚な組織、大阪弁護士協同組合のこの縁の下の力持ちの意味を一人でも多くの会員・組合員に知っていただき、「大阪弁護士会よし、大阪弁護士協同組合よし、会員(=弁護士)≒組合員(=弁護士)よし」の三方よしの構造が理解されればと、協同組合側から、弁護士会側からそれぞれの活動、財政を見てきたものとしての想いです。









